お稽古日誌

毎年暑い暑いと言っているが、今年の夏は特に暑かった気がする。花の持ちが悪いのは致し方ないが、少しでも長く楽しめるよう、メンテナンスに気を付けたい。

脚付きの花器を「コンポート花器」という。このような花器の場合、その特性を活かした作品にするとカッチリ」はまる。
今回、アリウムを横に張り出して花器の特性を生かしていると思う。しかしそれ以上に他の花材が上を向いているため、横に出たアリウムとのバランスが悪くなってしまった。
アリウムとケイトウに傾斜をつけて、さらにアレカヤシを花器に巻き付けることにより、全体の調和が図れる。

あえて枝物を使わず、花だけで構成する場合でも三角形を意識するとよい。
ヒマワリが上部、アガパンサスが下部としっかり分かれてしまっているが、こうなると作品自体の重心が上に行ってしまう。足元にヒマワリを足すと全体的に収まりがよくなる。

枝の向きだけでこれだけ印象が変わる好例ともいえる。寸法ばっちり、ほかの役枝も問題なし。
いけばなは省略の美ともいわれる。つまりは空間を如何にかっこよく見せるか。
わずかな枝の湾曲も作品全体に影響するから侮れないのである。

作品の骨格となる主枝で三角形を形成することが望ましいが、今回は一部クルクマの葉で作っている。が、いけばなの考え方として自然の出生を考えるとこれはおかしい。葉は茎に沿っていなければ不自然である。
ということで、キイチゴでしっかり骨格を作り、全体の流れをクッキリさせた。

「あ、惜しいね」が私の第一声である。
水盤の横型なのだが、メインになる枝が少し上に向きすぎている。これをしっかりと横に向かって伸びるように直すだけで、作品全体が大きくなり花と花の間がスッキリする。
もう一点は花がほぼ同じ高さになっているが、ここをランダムな高さにすることにより、それぞれの花を目立たせることができる。

「枝ぶり」という言葉がある。これは枝の姿のことを指す言葉だが、これをよく見極めないといい作品にならない。
画像ではよく見えないが、手直し前のユキヤナギは完全に裏を向いてしまっている。そして花も直立していて作品の流れがない。
大きな空間ができるようにアシンメトリーな三角形を意識していくとかなり印象が変わる。