10月のお稽古

徐々に秋が深まる…というよりいきなり寒くなった今年。稽古を振り返ると花材は徐々に秋が深まっているように見える。

 

 

基本を発展させる、今まで使ったことのない花器を使うという2点の縛りを課したこの日。

脚付きコンポート花器のメリット「高い位置のいけ口」から下方向に向かって伸びる花材の使い方が良い。

また、セッカヤナギの力強い流れと、ドウダンツツジの量でドッシリとした雰囲気に仕上がっているが、左へ伸びるセッカヤナギに対して、下方向へ伸びるドウダンのボリュームがやや多い。

 

セッカヤナギの力強さをもっと強調させて、作品全体を大きくすることができる。おかげでタテでは写真に納まりきらない作品になってしまったが 笑

 

 

 

複数の花器を組み合わせて一つの作品にする場合、花器の位置が自由に決められるメリットがある。

花器を等間隔で並べれば、それだけで一つのリズムができあがる。ランダムに並べれば作品としての奥行きが出て面白さが増す。

 

ここに花をいける場合、どうしても傾斜を付けたくなる気持ちは分かる。今回はクルクマとリンドウという、直線の花材だから、傾斜をつけるとセッカヤナギの自然なカーブの魅力を削いでしまう。このカーブと伸びやかなラインを強調させるために、花はまっすぐにして、全体に動きのある作品に仕上げた。

 

 

 

下方向へ緩やかにカーブするベニアオイとモコモコとしたトルコキキョウに、面であるモンステラを合わせるとき、特に全体のバランスに注意したい。

葉と花が一か所にまとまりすぎないよう、いける方向に注意して、さらにモンステラをもう一枚後ろの方向にいけることで、奥行き感とベニアオイの線を強調できる。

 

 

 

これもいける方向に注意したい作品。全体の寸法は申し分ないのだが、前に出るヒバの角度を直すだけで、作品全体が大きく、伸びやかに見える。

ほんの些細なことなのだが、これだけでぐっと雰囲気が変わるのが、いけばなのおもしろいところ。

 

 

 

花器からごっそり直したこの作品。直し前は水盤のサイズに対して、上に伸びるヒバが短い。一度短くしてしまったものは致し方ないので、花器を変えヒバをもう少し矯めて、全体をS字のフォルムにした。

画像を見ながら「水盤のままクレッセント型を作っても面白かったな」と思っている。次はその形にしてみよう。