まだまだ寒いけれど、春の花材が出回り始める2月。華やかに伸びやかに。
おそらくMさんの癖になっているのだろうが、どうしても広がりが乏しくなってしまう。花材自体の寸法は申し分ないから、作品全体の広がりを意識すると良い。
ギンコウバイに対してゴッドセフィアナで重心を下げ、サンシュユで広がりを出すと自然な感じにまとまる。
盛花の基本としてはセオリー通りにできあがったAさん。トルコキキョウが等間隔に並んでいるのは、面白みに欠けてしまう。
トルコキキョウに高低差をつけ、さらにギンコウバイで広がりを出すことにより、作品全体が華やかな印象になる。
ユキヤナギの枝ぶりをよく見ているYさん。作品全体を包み込むような流れが出ていて、これはこれで面白い。花器の色合いとの相性もいい。
手直しというより私ならこうするという提案で、右に傾斜しているユキヤナギを立て、ユリを短くした。こうすることでユリが咲き進んだ場合でも重心が上がらずユキヤナギのラインが強調できる。
ユキヤナギをクロスさせたTくん。彼もほぼ手直しなしでもいいくらいだが、創作花器の足元が傾いているところが気になる。この花器の面白いところは、アーチ状になっている曲線と、筒の直線との対比であるから、傾けるならもっと思い切って傾けるか、ユキヤナギのラインをしっかり見せるのであれば筒は垂直に立てた方が面白くなる。
主材のユキヤナギを見せるために他の花材を短くし、作品全体が大きく見せるようにした。
花器のいけ口いっぱいに花を入れたMさん。これはこれで伸びやかさが出ていいのだが、モモとコデマリがほぼ同寸になっているため、どちらが主材かが分かりにくくなってしまった。
モモが主材であることをもっと主張させていいし、そのためにはコデマリを少し控えた方が全体のバランスから見ても良い。モモが上部に伸び、コデマリが流れるようなカーブを描くことによって、自然の風景に寄せることができる。
同じ花材、同じ花器でいけたTくんは、花器と花材の親和性について考えたい。
正面から見た場合、いけ口が丸見えになってしまっている。ドラセナをあしらうことにより、足元丸見えを隠せる。また、アイリスの角度と方向にも注意したいところ。
ほんの少しのことだが、これだけで全体の流れがくっきりと出せる。
投入れのよこに伸びる形にしたSさん。レンギョウの枝ぶりをよく見ている。また、スカシユリとチューリップの色の配分も良い。
よこに伸びる形は植物の自然な形を一番表現できる形でもある。美しい形ができあがって今回は手直しなし!