オンライン

普段、あまり花作品をアップしない自分が、14日間毎日ほぼ定時でアップし続けたのは、奇跡に近い。

 

三日坊主

なにせモノグサな私である。三日坊主ならまだいい方で、道具だけ揃えて満足してしまい、以降何も手をつけなかったことの、なんと多いことだろうか。そんなこと自慢にもならないが。 

 

尤も、種明かしをしてしまえば、毎日花をいけて撮影していたわけではない。ある程度まとめて撮影していた。日常で真似してもらえるような小さい作品で、花材も花器も花型も変えてというのは、結構ネタ切れになるもんだなとやってみてつくづく感じた(私の腕が未熟なだけだが)

 

この「毎日いっすい」はInstagram、Twitter、Facebookで同時掲載した。それぞれフォロワーさんが異なる場所で、その反応の違いがあったのも発見の一つである。

 

 

稽古も変わる

さて、3密を避けるとなると、花教室は開講が難しくなる。実を言うと、4月の稽古は玄関を開け放し、窓も全開にし、マスク着用の義務化、手洗いの徹底、お弟子は時間をずらしてお稽古場に来て、極力喋らず、稽古後のティータイムも取りやめて行った。普段はワイワイと賑やかな教室が静まり返り、なんだか味気ない稽古場だった。何より開口部という開口部は全て開け放してあるので、とにかく寒い。別の意味で危険だ。

 

こんな状態では稽古にならない。そこで「オンラインでのリモート稽古」の実験も同時に行った。以前から案には出ていたのだが、いけばなとは3次元の立体造形で、これを2次元の映像で指導できるのか、私は懐疑的だった。しかしそんなことは言っていられない。私の収入云々というよりも、いけばなを教授する者が、花を触る機会をなくしてしまってはいけないという思いの方が強かった。

 

教室内のホワイトボードに「お稽古場に来たら連絡ください」と書き置いて、私は別室で待機。作品が完成したらビデオ通話で作品を見せてもらい、手直ししたらさらにもう一度チェック、オッケーが出たらお弟子は教室の隅に移動、私は教室に移動し実際の作品を見てリモートで指導ができていたかを確認。

 

こんなまどろっこしいやり方しかできないが、4月の3分の2くらいの稽古をこのやり方でやってみた。結果これが結構いけたのである。もちろん、基礎ができてるお弟子ばかりなので、この方法でも通用したのだろうが、なんでもやってみるもんである。

 

何とかなると確信した私は、5月の稽古を完全リモートへ切り替えることにした。しかし花材をどうするかという問題がある。これも逆転の発想で、日常の買い物のついでに、スーパーで売っている花を、自宅にある花器にいける稽古ができるじゃないか!と思いついた。

 

普段稽古している壺や水盤では、はっきり言って日常の花とは乖離している。これでは私が常々言っている「花のある暮らし」とは程遠い。本当に「花のある暮らし」をするなら、花の色合わせ、飾る場所など、総合的に指導するのが本来あるべき姿なのかもしれない。実は「毎日いっすい」は、5月がリモート稽古になるお弟子のヒントになるようにやっていた側面もある。

 

外出を控えるために4月のお稽古をお休みしたお弟子は「花がなくて寂しかったから、こんな形で稽古ができて嬉しい」と感想を言ってくれたし、他にも「お婆ちゃんが使っていた花器を使ってみたい」とか「スーパーで売ってる花の選び方の勉強ができる」という非常に前向きなお弟子ばかりで、こちらも嬉しくなる。

 

作品発表の場でもあり、作品指導の場にもなり、ネットがあって本当にありがたいと実感する日々である。