毎年のことながら、12月の後半は気忙しいまま、気がつくと大晦日になっていたりする。
仕事は段取り
よく「暮れが忙しいのは、正月を休むためだ」と言われる。
12月24日はクリスマスイブ、25日のクリスマス当日が過ぎれば、世間は一気に正月モードに突入していく。当たり前だが、ここは1週間しかない。
この1週間で方々のクリスマス装飾を正月バージョンに変え、自らの正月花稽古をつけていただき、花教室では正月花特別稽古をやり、んでもって親戚の新年会準備までやらなければならないのだから、私もずいぶん働き者である。
それが今シーズンは親戚の新年会は取り止め、方々の装飾も縮小傾向にあり、裏を返せば花の仕事が少ないということなのだが、段取りよく進んで30日にはすべての準備が整ってしまった。
10年以上前、大晦日になっても花がいけ終わらず、紅白歌合戦が始まってもまだ花をいけているという絶望的な状況に陥ったことがある。あの時ほど「仕事は段取りだ」と強く思ったことはない。
勝負の3日間
正月準備とは、歳神様をお迎えする準備である。目印となる門松や鏡餅を大晦日に飾ることを一夜飾りと言って嫌う。29日も「9は苦につながる」として忌む。 最近では29日も「ふく」と言い換えるが、「く」だろうが「ふく」だろうが、どちらにせよ地口なのだからあまり気にすることもないであろう。
ただ、そのあたりも考慮に入れつつ、気持ちよく正月準備をすすめるためには、26日~28日までの3日間しかない。ギリギリ30日なら何とかなりそうだが、なんだかんだで細かい仕事が残ったりするわけで、やっぱりクリスマス直後の3日間が勝負となる。
お花のご依頼をいただく先でも、そのあたりの日程は気を遣うところで、大安や友引、あるいは先勝を選んでいけ込むところもあるくらいだ。
飲んでSNSを触らない
30日には全ての迎春準備を終えるという、かつてないスピード完成すると、充足感と気持ちの余裕はすごかった。これは例年よりも少しだけ長い正月休みを取るぞと意気込んでいた勢いもあっただろう。
年越しは紅白歌合戦や年忘れにっぽんの歌をザッピングしながら、オードブルと共に美味しいお酒をいただき、年が改まれば、ちょっとだけ贅沢をしたおせちと、またまた美味しいお酒をいただいて「いい正月だ」と連呼していた……らしい(今一つ記憶がない)
さらには酔っぱらってTwitterにも「いい正月だ」と書いている。これは後から読み返して大後悔している。飲んでTwitter投稿をしていると、いつか炎上をやらかす可能性も高い。今年の目標は「飲んでSNSを触らない」にしようと思う。そんな目標でいいのか?
貴重な機会
さて、絵にかいたような「食っちゃ寝、食っちゃ寝」を繰り返し、ひたすら家に籠っていた正月なんて生まれて初めての経験で、でもこれが正月としてあるべき姿なのかもしれないなと思ったりもした。
例年ならば元日か2日に親戚が集まり新年会をし、ホテルブッフェ並みの料理を作り、終われば洗い物に追われ、すぐに仕事始めで、年末から続く疲労感こそが私の正月気分、新年を実感することだったのが、今シーズンは「王道の正月休み」の感が強かった。
もちろん、医療に携わっておられる方、不幸にして感染してしまった方など、例年通りにはいかない方も大勢いらっしゃったわけで、能天気にヘラヘラしている話を書き連ねるには少しばかり抵抗がある。
私にとっての「いつもと違う年越し」は、このような形ではあったが、冒頭の「暮れが忙しいのは正月を休むため」さらには「仕事を段取りよく進めていく要領」を体感できる貴重な機会となった。
来シーズンはどんな年越しになるかなど全く分からないが、きっとこの経験は活かせるはずだ。