夏の間はお稽古をお休みしてしまったので、いきなり季節が秋から冬に飛ぶ。
ソケイの傾斜が同じラインを取ると、全体的に長方形のフォルムになる。いけばなは基本的に三角形を作ると良い。
本来は上に伸びる枝が左右逆だが、三角形をしっかり見せるため、敢えてこの形にした。改めて見るとちょっと大げさなくらい間隔があいているが、そこは理屈をお教えするためとご理解いただきたい。
ユキヤナギのようなあちこち広がる枝は、どのラインを残して全体の流れを作るかがポイント。上に伸びる枝の方向と、横に伸びる枝の向きが同じになっている。これを別方向に流れる形をとると、動きのある作品となる。
枝の整理には、まず枝自体をよく見ること。その植物が一番美しい姿を見極めることが、植物に対する最大の敬意である。
サンゴミズキを矯めて、揺らぎを表現した。ほぼ手直しなしだが、レザーファンの長さとトウガラシの位置を変えている。
せっかく美しいラインを創り出したのだから、レザーファンは短くした方がサンゴミズキのラインが際立ち、縦のフォルムがよりすっきりと見える。
また、ほぼ同色トウガラシは、艶のある質感を散りばめることにより、全体的に華やかさが出せる。
同じくサンゴミズキを矯めてラインを強調したもの。
左に対して右側のボリュームが少ないためにアンバランスさが目立つ。サンゴミズキを足すと、程よいバランスが取れる。これが同じ量のサンゴミズキが入るとくどくなるし、線で構成するつもりが面に近くなってしまうから注意が必要。
まずはこちらの作品をご覧いただきたい。切り落としたアカメヤナギの下部分を水盤に置いた。
アイデアとしては面白いが、どうも「切ったものを置き忘れちゃった」感が否めない。
ここは流木に変えたらどう?とアドバイスをしたのが下の作品である。
2本の流木を組み合わせて、逆S字を形成しているが、アカメヤナギとラインが交差して喧嘩している。
後方の流木を別のものにし、手前の流木の向きを直す。さらにアカメヤナギの上部を広げることにより作品の重心を下げ、軽やかさを出す。
こうすることで作品全体に一つの流れができ、後方の流木もアカメヤナギのラインに沿わせるように後方へ力を分散させると立体感が増す。
最近入門された方だが、この日から自分で寸法を考えていける稽古が始まった。
三角形を意識するあまり、いけ口(足元)が寂しい。傾斜角度をつけたり、投入れの場合のポイントを押さえれば、スッキリとした作品になる。
寸法はちゃんと取れているから、自信をもって大丈夫。
タニワタリは線というよりも面に近い。刃先が細くなっているもの、四角くなっているものなど、葉の個性を活かすには、ちょっともったいない気もするが思い切って短く使うのも手。
葉の向きを少し変えてみると表情が違って見えてくる。