散々な年になった2020年。私の教室でも初のリモート稽古をしてみたり、長年お世話になっていた生花店が閉店したりと、変化の多い年だった。
サンゴミズキでアウトラインをとったAさん。セオリー通りで寸法も良いが、やはり線の細さが気になってしまう。
矯めたサンゴミズキでリズム感を出し、ツバキで量感、ピンポンマムをポイントにして、ヒペリカムでアクセントをつけると、ボリュームと共に足元も隠れ、モダンな印象になる。
投入れのよこに伸びる形をお稽古したYさん。この形の難しいところは、思い通りの傾斜をどう留めるかの一点と言っていい。ベースになっているサンゴミズキ、ピンポンマムなどの役枝は長さも角度も申し分ないので、ツバキの位置と量を変える。
花器の右側に不等辺三角形を作るのであれば、左側にはなるべく大きい空間を作る方が、より三角形が際立つ。さらにサンゴミズキを補完する形でツバキを入れることにより、花材全体の一体感を持たせた。
「他の方はサンゴミズキを主にもっていくだろうから、別のことがしたかった」というTくんは、ツバキを主材に、サンゴミズキを丸めてアクセントとした。
ツバキの自然な曲線、矯めたサンゴミズキの人工的な曲線と敢えて残した直線がうまく調和し、リズムができている。細かい部分であるが、下部のサンゴミズキがほぼ同じ方向をむいているが、ここを少し広げるだけで作品全体の広がりが変わってくる。
クリスマスを意識した花材組みにしたこの週は、発泡素材を吹きつけたウンリュウヤナギや、油断すると手に刺さるヒイラギなど、普段あまり使わない花材に四苦八苦した方も多かった。
Sさんはウンリュウヤナギの自然な線を生かした作品にしたいと奮闘したが、2方向にほぼ同じ長さになってしまい、どちらを目立たせたいかが不明確になってしまった。
ウンリュウヤナギはある程度のボリューム感を持たせ、しっかりと方向性をつけることにより存在感を出すことができる。
クリスマスなら金の水盤がいいのでは!といけ始めたのはいいものの水盤と花の大きさバランスに苦心したAさん。やはり水盤の小ささが気になってしまう。
だからと言って水盤に合わせて花材を短くすれば、今度は全体が窮屈な印象になるだろう。
いっそ花器を変えてしまうことも可能だが、せっかくクリスマスを意識して金の水盤を選んだのだし、花材も長さを変えずにカッコよくする方法を考える。
剣山をできるだけ水盤の縁に寄せ、たてのラインを意識しなるべく水盤を見せるようにする。最後にオーナメントを引っ掛けたり、水面に浮かべた。
稽古花でオーナメントを使うというのも、結構な飛び道具だが、実はこういった小物類は私の教室に常備してある。普段の生活に花と組み合わせることで一段と季節感を演出することができる。
正月花特別稽古
一年最後は、正月花特別稽古。私の教室……というか、私自身のモットーが「綺麗! 豪華!! 派手!!!」なので、お正月を彩る花はそれに則って。
今年は様々な花展が中止となり、個展と併催する予定だった社中展まで延期となるなど、作品発表の場がなかったが、それでもお稽古を続けてくださったお弟子さんには本当にありがたいと感謝している。
来春には2人の若手がプロデビューする。これは私にとっても誇りだ。どうか大きく羽ばたく一年になるよう心から願う。
皆さま方におかれましても、どうぞよいお年をお迎えになられますように。