「Flowerge」では、当初「春」、最終的に「芽吹き」がテーマになりました。
苦悶
「芽吹き…かぁ…」
どうしたもんかねぇ?と頭を悩ますのは毎度のことですが、今回ばかりはしばらく唸ってしまいました。
というのも「芽吹き」という言葉に、「満開」とか「爛漫」というイメージは…ないですよね。
かと言って、本当に芽吹きはじめた花材ばかりだと、小さい作品ならいいけれど、今回のようなサイズとなると、作品自体がショボくなるしなぁ…。
いつもなら作品全体のイメージを考えてから使用花材を決めていくのですが、今回は料理の石原さん、お酒の金原さんが打合せているのを聞きながら、花の色や香りを意識して、先に花材を決めることにしました。
これが開催2週間前。
過程を見せる
花材は決まったものの、相変わらず作品の全体像が固まらないまま、開催日は迫ってきます。
こうなりゃ一旦「芽吹き」から離れて、別のアプローチから考えたらどうだ?
冬から春。
冬来たりなば、春遠からじ。
春…春…まだ来ない春…遠い春…
( ゚д゚)ハッ!
私、松任谷由実さんの楽曲からイメージを膨らませて、花作品にすることが多いのですが、今回もご多分に漏れず。
…はい。
勘のいい方はお気づきかもしれませんが、そうなんです。
「春よ、来い」
この曲は、春の歌ではありません。
歌詞にも
春よ 遠き春よ
春よ まだ見ぬ春
とあるように、春を待ちわびる歌。
具体的な季節だけでなく、人の気持ち、心の風景としての春という意味も含まれていると思います。
曲調は非常に優雅で温かい和テイスト。
大サビのリフレイン
はーるーよー!
からは、一気に春の景色が見えてきます。
冬枯れから植物の芽吹き、そこから桜が咲く春景色への時間経過を、いける過程を見せることによって表現できるのではないか。
そこに春を待ち焦がれる人々の気持ちを込めて作品にしたら、きっと美しくなるのではないか。
そうだ!
コース料理の構成も、冷菜から徐々に温かい料理へと進むし、お酒も同じと言っていたではないか。
この瞬間、2作品のイメージが同時にできあがったのです。
やっぱり…あの方の楽曲に依存してしまうのだね…