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華道家
奥谷一翠Issui Okuya
奥谷一翠Issui Okuya
唐の詩人、白居易の「寄殷協律」の一句「雪月花時最憶君(雪月花の時 最も君を憶ふ)」がわが国に伝わり「雪月花」という言葉は日本の美を象徴する語句となりました。
雪はいつか融けて消え、月は毎夜その姿を変え、花はいつか散る。世の無常にも通じた世界観。これはいけばなにも通じるものだと、私は考えます。同じ花材、花器を使っても二度と同じ作品はできません。完成したと思った作品でも、花は日々刻々とその姿を変え、そして枯れていきます。
「花をいける」という行為は、その植物の命をいただくこと。たった数日の、場合によっては数時間の儚い命。だからこそ、その植物が一番美しい姿を作品として昇華させることが、華道家の仕事なのだと考えます。